(PRTR 法)
J- PARCセンターにおける取り組み
J-PARCセンターでは、2013 年に発生したハドロン実験施設における 放射性物質漏えい事故を受け、職員と関係者の安全意識を向上させるた めの取り組みを進めています。
毎年、事故の発生した 5 月 23 日の前後に、再び事故を起こさないこ と、さらに安全な職場環境を目指す決意を新たにするため、「J-PARC 安 全文化醸成研修会」を開催しています。2015 年度は、5 月 22 日に、東 海村の原子力科学研究所大講堂を主会場とし、つくばキャンパスにもTV 会議中継する形で開催され、319 名が参加しました。はじめに、齊藤セ ンター長より、事故から 2 年間の安全向上のための取り組みが紹介され、
一人ひとりが日常に潜む不安全を認識し、安全な施設運営に責任を持っ て取り組んでいくべきとの決意が述べられました。引き続き、関西大学・
土田昭司教授の講演「リスクコミュニケーションとクライシスコミュニケー ションの心理学」から、危険状態における心理、危険状態で必要となる 対応、コミュニケーションの重要性などについて学ぶことができました。
また、国内外の加速器施設や大学の加速器安全担当者と、安全管理 の経験や課題について情報を共有する「加速器施設安全シンポジウム」
を開催しています。2016 年1月27日から28日の第 3 回シンポジウムでは、
つくばキャンパスにおける取り組み
KEK では、毎年秋に安全・衛生週間を実施し、関連するイベントを集中的に開催し、職員の他、共同利用者、
学生、役務契約会社社員の方に参加していただき、安全意識の向上を進めています。2015 年度は 10 月 26 日か ら10 月 30 日まで行い、初日にはキックオフとして安全・衛生管理担当理事の挨拶の後、「ヒューマン・エラー事 故災害防止、安全活動三種の神器」と題して、中央労働災害防止協会の笹尾健臣氏による特別講演を行いました。
また、安全講習会として、「電気安全」、「J-PARC 安全の取り組み」について主会場のつくばキャンパスと東海キャ ンパスとをTV会議で接続して開催しました。併せて、機構長・理事によるつくばキャンパスの実験施設への安全 巡視や消防署による普通救命救急講習及び心肺蘇生と AED 講習会のほか、安全への取り組みやヒヤリハット事 J-PARC 安全文化醸成研修会における
関西大学・土田教授の講演
第 3 回加速器施設安全シンポジウム 加速器施設における放射化物の管理・取り扱いと高圧ガス設備の安全管理の話題をトピックスとして各施設の取 り組みが紹介されました。国内の多くの機関から153 名の参加者があり、13 件の口頭講演に加えてポスターによ る施設紹介・活動紹介なども行われ、加速器施設の安全に関して相互理解と連携を深めました。
この他にも、J-PARC 各施設での取り組みを紹介し合う「J-PARC 安全情報交換会」、放射線安全に関するスキ ル向上を目的とする E ラーニング教育、安全ポータルサイトを利用したヒヤリハット情報共有などを通じ、関係者 の安全意識と知識の向上に努めています。
安全衛生講習会の様子(東海キャンパス)
職場環境の向上
健康管理
年 1 回の一般定期健康診断と年 2 回の特殊定期健康診断(電離放射 線、特定化学物質等)のほか、子宮がん検診、大腸がん検診、胃がん検 診をそれぞれ実施しました。このほか雇入時の健康診断及び長期海外渡 航等に係る健康診断を随時実施しています。
健康相談室では、健康診断の結果に基づいて産業医等による保健指 導を行うとともに、職員からの健康相談には随時対応してきました。
また、職員の健康と健康意識の向上に向けた安全衛生講習会として、
産業医による「職場の健康管理」の他、衛生管理者や産業看護師等によ る「ストレスチェック制度について」、「巡視点検報告」をテーマに、つくば、
東海の両キャンパスにおいてそれぞれ開催しました。なお、2015 年度の安全衛生講習会は、安全文化醸成の取 り組みの一環として実施した「安全・衛生週間」の集中イベントのひとつとして開催しました。
KEK ではこれらの取り組みを行い、職員の健康管理の維持・増進に努めました。
巡視点検
産業医、衛生管理者による巡視点検を両キャンパスあわせて 121 回(累計 171 棟)実施し、指摘事項は 180 件 あり、82% が改善されました。安全衛生推進室と各部署担当者が相互理解を深めるために、巡視点検の同道や、
衛生委員会での情報共有を行っています。また、指摘事項のみならず、巡視点検における好事例も各キャンパス 衛生委員会にて紹介し、より質の高い安全衛生管理への一助となるべく情報発信をしています。
さらに、つくばキャンパスでは、産業医、衛生管理者による巡視点検の他に各部署の安全衛生点検者による月 1 回の自主点検も行われています。
例のパネル展示を行いました。
2 月には高所作業での墜落防止対策についての講習会を開催し、墜落 災害の現状、最新の労働安全衛生規則、墜落防止対策などについて土 浦労働安全コンサルタント事務所の佐々木哲美氏に話を伺いました。
また、ヒヤリハット投書箱を通してのヒヤリハット事例の収集、「安全 最優先」と大きく表記したポスターの掲示を継続して行っており、日常の 中での安全衛生に関する意識の喚起に役立っています。さらに、火災、
地震、ケガ、放射線事故、化学物質の汚染等の緊急時の対応を電話帳 形式にまとめた緊急時対応手順書の英語版を新たに作成し、日本語版と 英語版を並べて掲示することが可能になりました。その他、外国人研究
緊急時対応手順書と安全ポスター
者等の安全・安心のために、「緊急時連絡先及び避難マップ」(英語版下敷き)を作成し職員、外国人共同利用研 究者、国際共同実験グループ等に配付しました。
防災への対応
つくばキャンパス全体規模で大地震の発生から火災に至るとの想定で 防災・防火訓練に加え、新たに、事故発生時の対応に関する訓練も併せ て実施しました。その他、自衛消防隊の 2 支部において計 3 回、独自 に防火訓練を実施しました。
東海キャンパスでは、西地区での防火訓練、J-PARCセンターとして事 故発生時の対応に関する訓練や消火器取扱訓練等を行ったほか、JAEA 原科研が実施した、大地震に続いて大津波が発生したとの想定による防
災訓練に参加しました。 大津波を想定した防災訓練の模様
(東海キャンパス)
作業環境測定
労働安全衛生法に定める有機溶剤または特定化学物質を取り扱う場合、作業場に対する作業環境測定(当該 化学物質の空気中の濃度測定)及び作業者に対する特殊健康診断が義務付けられています。化学実験棟水質検 査室で委託業者が行っている水質検査業務のうち、ノルマルヘキサンを取り扱う検査、及び STF 棟内電解研磨 設備において電解液として硫酸とフッ化水素酸の混酸を使用する作業が有害業務に該当し、定期的に作業環境 測定を行っています。2015 年度は 9 月と 3 月にノルマルヘキサンの作業環境測定を、6 月と12 月にフッ化水素 の作業環境測定を行いました。双方の作業場においていずれの測定も第 1 管理区分(適切)に評価され、作業環 境上問題のないことが確認されました。
事故等
2015 年度、つくばキャンパスでは交通事故 17 件、発火発煙事故 1 件、その他事故(作業中の物損やケガなど)
が 5 件ありました。特に交通事故の原因は、駐車場で車を操作する際の接触事故(9 件)、入出構ゲートのバー への接触事故(5 件)等、当事者の不注意や確認ミスによる物損事故がほとんどでした。このことから、職員の他、
ユーザーや関係の業者等の方々に対して、構内での交通ルールの遵守についての注意喚起を機構メールで行いま した。
AED(自動体外式除細動器)は、2016 年 3 月末現在、つくばキャンパ スに計 10 ヶ所、東海キャンパス(J-PARC を含む)に計 15 ヶ所、設置さ れています。
なお、2015 年度は、「安全・衛生週間」のイベントのひとつとして、つ くばキャンパスでは「普通救命講習会」において心配蘇生法、AED 使用 方法、止血法及び異物除去を、「救命救急・AED 講習会」においてAED 使用法を実施し、それぞれ 28 名(合計 56 名)の職員等の参加がありま した。
また、東海キャンパスでも 8 月に「普通救命講習会」を実施し、職員 12 名の参加があり、応急処置の知識や技術を習得しました。
AED 設置と取扱訓練
救命救急・AED 講習会の模様
介護・育児・女性教職員支援
KEK では、男女共同参画社会の実現を目指し、仕事と家庭の両立や 雇用環境の整備等、男女共同参画推進室を中心に活動しています。当 室は、育児・介護・女性教職員に関する支援について、ホームページで 休暇・休業制度や休業補償制度等の情報提供を行うとともに、セミナー や勉強会等も開催しています。更に育児支援では、KEK 職員に限らず KEK で修学する大学院生も対象とした KEK ベビーシッター利用支援事業 により費用補助を行っています。
2015 年度は、仕事と育児の両立支援策として育児支援室を設置すると ともに、女性教職員の職場環境の向上を図るため、3 号館 5 階・6 階に 女子休憩室を新設、実験施設に隣接する電源棟(7ヶ所)及び搬入棟(2ヶ 所)に女子トイレを設置しました。
2016 年度には、筑波実験棟のトイレ改修も予定しており、雇用環境の 充実を図っています。
育児支援室
参加型子育てセミナーの様子
その他の取り組み
KEK の加速器や関連施設等の運転維持には数多くの業務委託の作業 員が携わっています。更に工事や役務等の業者の方も構内で作業を行っ ています。
2015 年度に発生した事故の中には、業務委託の方等の関わった事故 も含まれています。KEK では、業務委託業者等の方を対象として、毎年、
安全業務連絡会を開催しています。2015 年度は 12 月に開催し、構内に おける火災時の対応や一般安全、電気安全、化学安全、健康管理につ いて各安全担当者、産業医より事故事例等の紹介を交えて説明しました。
また、J-PARC においても、7 月に作業における安全情報を業者の方と 共有する「J-PARC 請負業者等安全衛生連絡会」を開催しました。
安全業務連絡会の模様